仮想通貨を始めると新しい言葉や概念とたくさん出会うため、慣れるまでは知らないことの連続です。
慣れるまで難しく感じる仕組みの1つが、ブロックチェーンです。
ビットコイン・イーサリアムといったブロックチェーンはパブリックに公開されていて誰でも閲覧可能ですが、それぞれのブロックチェーンは別個のルールの上に成り立っています。
そのため、同じトークンでも別のブロックチェーン間を自由に移動させることができません。
それを解決するのが「ブリッジ」です。
本記事では、
- ブリッジとは何か
- ブリッジにはどんなメリット(デメリット)があるのか
- 具体的にどうすればブリッジできるのか
- ブリッジする際の注意点
を解説していきます。
この記事を読むことで、ブリッジの概念を理解してブリッジを使いこなせるようになりますよ。
仮想通貨のブリッジって何?
初めに書いた通り、異なるブロックチェーン間では本来トークンを送り合うことができません。
それを可能にするのがブリッジです。
どうやって別のブロックチェーンへトークンを送っているのかを簡単に説明するためにETH(イーサリアム)を例に出しますね。
ラップドトークンとは
ERC-20の規格に準拠したETHをEtherscanで調べると、このように出てきます。
次にPolygonチェーン上でのETHをpolygonscanで検索してみます。出てくる情報がこちら。
Contract Address(コントラクトアドレス)が違うのが分かりますね。
つまり、この2つのトークンは両方ともETHと表示されますが、別個の存在であるということです。
それぞれメタマスク上ではETHと表示されますが、厳密にはWrapped Ether(WETH)と表記されていることがスキャン上から読み取れます。
イーサリアム上でトークン化されたWETH、ポリゴンチェーン上でトークン化されたWETHはそれぞれラップドイーサと呼ばれていて、オリジナルのイーサリアムと常に価格が連動するようになっています。
こうすることで他のチェーン上でも特定のトークンを実質使えるようにしているわけです。
ようするに、「ブリッジ=他のチェーンに特定のトークンをラッピングすることで使えるようにする」という理解で大丈夫です。
仮想通貨をブリッジする方法
仮想通貨をブリッジする方法、というより他のチェーンに移す方法は、大まかに2通りあります。
- CEXを使う
- 特定のプラットフォームのブリッジ機能を使う
CEXを使ってブリッジする
一番多くのチェーンをカバーしているのがBinance(バイナンス)なので、ここではバイナンスを使ったブリッジ(他チェーンへの移動)方法を説明しますね。
方法は簡単で、バイナンスにブリッジしたいトークンを入金して、好きなチェーンで出金する。それだけです。
例えば、メタマスクのメインネットにETHが入っていて、これをArbitrumチェーンのETHに替えたかったとしましょう。
その場合、
- バイナンスにETHを入金する
- バイナンスからETHを出金する。その際に「ネットワークの選択」で「ARBITRUM」を選択する
という手順を踏みます。
出金を選択して…
出金ネットワークを選択から…
ARBITRUMを選択
これだけ!簡単ですよね。
メリットとデメリットを並べると、
メリット
- 特に初心者には分かりやすい
- ブリッジしたいチェーンに応じてプラットフォームを使い分ける必要がない
デメリット
- 「ウォレット→CEX」「CEX→ウォレット」の2回、送金のガス代がかかる
- ガス代を差し置いても、2回送金するのが手間
- ブリッジできるネットワーク(チェーン)は主要なとこだけ。マイナーなとこには対応していない
といった感じです。
特定のプラットフォームのブリッジ機能を使う
本来「ブリッジする」と言えばこちらが本来の方法なんですが、もう1つの方法は「特定のプラットフォームのブリッジ機能を使う」というものです。
- Multichain
- Wormhole
- Polygon Bridge
など、ブリッジができるプラットフォームがいろいろあります。
それぞれ対応しているチェーンが違いますが、基本的にほとんどが分散型でウォレットを接続するだけでブリッジ機能を使うことが出来ます。
- ウォレットを接続する
- ブリッジするトークンを選択する
- ブリッジ先のチェーンを選択する
手順はこれだけ!こちらも同じくシンプルです。
メリット・デメリットとしては、
メリット
- CEXと違って口座開設の手間がない
- 送金の手間もない
- ガス代によってはCEXより安くすむ
- 幅広いネットワーク(チェーン)間でのブリッジが可能
デメリット
- 状況によってはブリッジに時間がかかることがある
- ハッキングリスクはCEXより高い。分散型なのでもちろん被害にあえばだれも補償なんてしない
といった感じですね。
各プラットフォームでのブリッジ方法
CEXを使ってトークンのチェーンを移動させたい場合はバイナンスにトークンを送って出金するだけなのでこれ以上説明は必要ないと思います。
分散型プラットフォームを使ってブリッジをしたい場合は、プラットフォームの種類もけっこうあるのとUIも少しずつ違っているので、以下にそれぞれの使い方をまとめておきます。
それぞれのリンクからブリッジの特徴と使い方の記事に飛べるので、気になったものがあれば見てみてください。
この5つはそれぞれのチェーンの公式が出しているブリッジで、よく使われています。
最初の3つを使っている人が多い印象です(特に初めの2つ)。
Rango Exchangeは、日本人に少し人気があります。
仮想通貨のブリッジに伴うリスクと管理方法
当初は別のチェーンにトークンを移動したいときはCEXに頼るしかなかったんですが、ブリッジという仕組みが確立されたことでかなり便利になりました。
とはいっても技術が開発されたのは最近のことですし、リスクはまだまだあります。
それらを理解した上で賢く自分の資産を守ることが求められているのが現状です。
ブリッジに伴うリスクとしては以下のものがあります。
- 資金が引き出せなくなるリスク
- ハッキングのリスク
資金が引き出せなくなるリスク
スマートコントラクトのコードにバグがあったり、スパムのような外部の攻撃が原因でユーザーの資金が引き出せなくなる(もしくは奪われる)可能性は常にあります。
また、ブリッジのサービスを提供している側(長いので便宜上運営と呼びます)が裏で企んでネットワークの50%以上を確保することができれば、ロックされた資金を自由にできてしまうという穴も。
なので最低限のリテラシーとして、
- 新しくできたばかりのブリッジプラットフォームは使わない
- 新しいチェーンとのブリッジは使わない
- 使うなら、失ってもいい額にする。使うウォレットは普段使いのものでなく、新しく用意したものにする
以上の3点は守るようにしたほうがいいです。
ハッキングのリスク
悲しいことに、ブリッジのプラットフォームはハッキングからよく狙われます。
本記事でもプラットフォームの1つとして挙げているWormholeや、BCGの先駆け的存在のAxie Infinityが提供しているRonin Bridgeといった有名どころもハッキングの被害に遭いました。
- Wormhole…12万ETH(当時の約476億円)
- Ronin Bridge…約663億円分のETHとUSDC
ハッキングリスクはどのプラットフォームにもつきまといますから、このリスクに対する有効な対策は1つだけです。
ブリッジを使い終わったら、毎回リボーク(ウォレットの承認を取消)するようにしましょう。
リボークの仕方については以下の記事でまとめています。
仮想通貨のブリッジまとめ
仮想通貨のブリッジの特徴・方法・リスクについて解説しました。
- 異なるネットワークでトークンを移動するのがブリッジ
- CEXを使っても同じことができる
- プラットフォームを使う場合は最低限のリスク管理として
- 新しいプラットフォーム・ネットワークは極力使わない
- 使うなら失ってもいい額を、新しいウォレットで
- 使った後は毎回リボークを徹底
上記さえおさえておけば、だいたいのリスクは回避してブリッジを活用できます。
基本をしっかりおさえて、クリプトを楽しみましょう!