株式投資などの経験がある人なら馴染みのある言葉だと思いますが、大口の取引をする際に便利な方法として「OTC取引」というものがあります。
この記事を読む人は、
- 仮想通貨でのOTC取引を知りたい
- SNSやコミュニティでOTCという言葉を聞いてググった
この2つのうちどちらかだと思います。多分後者の方が多いかもしれません。
本記事では、
- OTC取引の定義
- OTC取引のメリット
- 実際に使える取引所の例
などを紹介します。
OTC取引とは?
OTC取引とは、「取引所や市場を通さずに個人もしくは企業が直接暗号資産の売買を行うこと」を指します。
もともとの言葉がOver The Counterから来ていて、店頭取引という意味があります。
OTC取引の場合、個人と個人、もしくは取引所(や企業)対個人というふうに、1体1で取引をします。
当事者同士で量や価格などを決めて取引するのが特徴です。
そのため、市場の価格に影響されることがありません(もちろん市場価格を参考に価格をすり合わせると思いますが)。
一般的には取引所を介して仮想通貨を購入もしくはトレードすることが多いんですが、特に大口で仮想通貨の売買取引をする場合には、OTC取引の方が適していることが多いです。
その理由を説明していきます。
OTC取引のメリット
OTC取引には大きく分けて3つのメリットがあります。
- 相場に影響されない取引ができる
- スピーディに取引ができる
- 取引所特有のデメリットを避けられる
OTC取引のメリット1:相場に影響されない取引
普段私たちが日本円を仮想通貨に交換したいときはCEX(シー・イー・エックス)と呼ばれる中央集権型の取引所を使います。
取引所から直接仮想通貨を購入する(販売所取引)か、ユーザー同士で特定のペアからトレード(取引所取引)することが多いです。
販売所取引で仮想通貨を購入しようとすると、取引所が利益を得られるようある程度のスプレッド(通常のレートよりも高め)がつくため割高になってしまうというデメリットがあるので、ほとんどの場合はみんな取引所取引を利用します。
ここで問題になってくるのが、大量の仮想通貨の売買取引をしようとしたときに、板情報によって決まる価格が動いてしまうことが多いという点です。
日本にはいろんな取引所があってその中でも優劣がついており、一番の取引量を誇る取引所(例えばビットコインならbitFlyer)がありますが、世界規模で見るとユーザーは決して多くありません。
というか少ないです。日本人しか使わないので。
そうなると、どうしても一番流通量の多いビットコイン1つとっても、板が薄くなりがちです。
つまり、大口でビットコインを買おうとしても、売り板が足らず、期待していた価格で約定できないことが起こり得てしまいます。
世界的なレートでは300万だったのに、2000万円分取引所で買いを入れたら、平均価格が310万円だった、なんてことになったら最悪ですよね。
そこで役に立つのがOTC取引です。
OTC取引の場合、当事者間で取引量と価格を決めるため、市場の板情報や価格に左右されることなく、合意に達した条件で取引ができます。
さっきの例だと、2000万円を300万の価格でBTCを購入することができるということですね。
もちろん小口でも可能ですが、大口で取引したい人たちにとってメリットの大きい取引方法になります。
OTC取引のメリット2:スピーディな取引
さきほど取引所で板が薄い状態のまま取引をした場合、値滑りして損をするという欠点を上げましたが、一気に成行注文をせずに指値で取引をした場合は、このデメリットを回避できます。
しかし、今度は自分の希望する価格に達するまで待ち続けないといけないというデメリットが発生します。
OTC取引の場合、お互いに合意できる量であれば一度に取引を済ませることができるため、小分けにして何度も取引をするという手間を挟む必要がありません。
基本的にあOTC取引は大口で利用したい人がほとんどなので、売るにしても買うにしてもまとまった量の取引をしたい人たちしかいないため、希望条件を満たす人を見つけるのはそこまで難しくないと言えるでしょう。
売るだけならまだマシかもしれませんが、日本円を仮想通貨にしたくて買いをずっと待つのは機会損失のリスクもあるのでありがたいですよね。
OTC取引のメリット3:取引所のリスクを避けられる
取引所を介した取引はプラットフォームが整備されていて使いやすいため、簡単な手順で仮想通貨を運用できるので便利です。
ただ、プラットフォーム側に問題が起きた場合、たとえば
- 取引所がハッキングに合う
- サーバーダウンで取引が不可能になる
- etc…
といった場合、資産が一時的に触れなくなったり、最悪の場合流出してしまうリスクがあります。
使いやすい代わりに自分で完全にコントロールできない環境に資産を置くリスクがあるということですね。
OTC取引の場合、そういったリスクを避けることができます。
もちろん、取引所が提供するOTC取引を利用する場合は同じリスクがあるといえますが、利用後にすぐ資産を個人のウォレットや銀行口座へ移すのであれば、ある程度リスクを減らすことが出来ますね。
OTC取引のデメリット
OTC取引の良い点を挙げてきましたが、もちろんデメリットもあります。
主要なデメリットとしては、
- 取引相手が見つからないケース
- 詐欺のリスク
があげられます。
OTC取引のデメリット1:取引相手が見つからない
OTC取引は原則大口のみのため、売り手もしくは買い手が見つからないケースも考えられます。
仮想通貨は価格変動が激しい傾向にあるため、なかなか相手を見つけられないまま時間が経ってしまうと、その間に価格が高騰したり下落してしまうことも珍しくありません。
思うように相手が見つからなかった場合は、通常の取引を検討するのも手です。
特に仮想通貨をこれから始める、資産はある程度ある、といった方は、不慣れなうちは通常の取引方法を選んだほうが無難かもしれません。
OTC取引のデメリット2:詐欺のリスク
一番のリスクはこれです。
取引所との大口OTC取引であればそこまで問題ありませんが、取引所を介さず個人同士で行う場合、先に自分が送金した後相手に逃げられる(詐欺にあう)ケースはけっこうあります。
ある程度仮想通貨で稼いだ人たちが「OTC取引を考えてるんだけど」というと、経験豊富な人たちから「絶対注意してやらないと危ない」と言われます。
仮想通貨の魅力でもあるんですが、銀行口座のやり取りと違って、ウォレットアドレス間での仮想通貨のやり取りは匿名性が高く、お互いの身元を隠したままやり取りができてしまいます。
なのでSNSでやり取りを済ませて指定のアドレスに取り決めた額を送金する、という手順だけだと、相手に悪意があれば簡単に逃げられてしまいます。
取引所を介さない分、お互いの信頼がとても重要になるのがOTC取引です。
個人間で行う場合はきちんと約束通りに取引している実績があるのか、信頼できる相手なのかしっかり根拠を確認した上で行うようにしましょう。
OTC取引まとめ
仮想通貨におけるOTC取引について解説しました。
通常の取引所を介した取引の場合、大口で取引をすると価格に影響を与えやすく、自分が損をすることが多いというデメリットを回避できるのがOTC取引です。
その反面、仲介してくれる取引所を使わないことで相手を信頼できるかどうかを自身で判断しなければいけません。
板情報を見ながら少し時間をかけてでもよいという場合や多少の手数料は構わないという人は取引所取引もしくは販売所取引をするのも手です。
信頼できる相手を見つけられる、もしくは伝手があるという場合はOTC取引を利用するのもよいと思います。
OTC取引を利用する場合は、とにかく詐欺だけは気を付けてくださいね。
最後に宣伝
筆者自体はOTC取引の経験がないんですが、必要になったときには頼れる伝手があります。
その相手は仮想通貨に触れていろんな人と関わる内に見つかりました。
記事の中でも仮想通貨で利益を上げた人がOTCを検討すると周りにこんなことを言われる、といったことを書きましたが、これは筆者が実際に経験したことです。
匿名性の高い技術だからこそ、きちんとした生の情報を集めることはこの界隈でとても重要です。
利益を出せそうな機会も個人で探すより、チーム戦の方が圧倒的に勝率が高まります。
基本的にみんな、TwitterやDiscordで情報を収集したり共有しているんですが、私は個人的にDiscordを強くオススメしています。
理由は情報を集めやすく、色んな人と繋がりやすいからです。
TwitterだとTLにどんどん情報が流れていって追いにくいというデメリットがありますが、Discordではサーバー内のメンバーと交流が取りやすく、ジャンル毎の情報を整理して共有しやすいというメリットがあります。
本ブログ「CWC」ではDiscordサーバーも運用中です。
「初心者の方に有益な情報と環境」をモットーにしていて、誰でも質問があれば気軽に聞けて答えられるよう心がけています。
今回のような原則的な情報はブログで発信するのに向いていますが、基本的に仮想通貨で稼げそうな情報は賞味期限が極端に短く、こういった媒体で発信するのに向いていません。
知識を身につけたり情報を収集するのには良い場なので、興味があれば気軽に覗いてみてください。